卒業制作は照明のインスタレーション
緩やかに揺らぐ照明
テーマは
話は学生時代に戻りますが、季節柄、卒業制作のことを少し。
僕の所属していた講座(ゼミ)は、工業デザインをメインとした講座で、同じ所属の学生は、インダストリアルなものを卒制のテーマにしていました。
いわゆる製品になり得るもの(車両、家電、音響機器、玩具、家具等)に、新たな独自観点を付加したものです。
あまのじゃくな僕は、どちらかと言うと製品というより、作品のようなインスタレーション的なものを製作しました。
抽象的なイメージをどう形づけるか
“揺らぎ”とか“儚さ”をテーマにしたくて、照明という手法で表現を模索しました。
なかなか最終形状にたどりつけないまま、時間が過ぎていったのですが、たまたま下宿アパートの近くに、錆びた配管が放置されているのを発見。所有者に交渉して、譲ってもらうことになりました。大学までは、友達の車で運搬。この配管のおかげで、イメージが固まっていったのを覚えています。
“揺らぎ”を配管にさしたピアノ線のゆるやかな動きで表現し、“儚さ”は、ピアノ線同士の接触によるショートを起こさせ、灯りが点いたり消えたりする現象で表現しています。
配管をやじろべえのように支点でささえ、重さの均等を保つように、片側にウエイトをコンクリートを固めて造りました。
傍らを人が通り過ぎることによる僅かな対流で、植物のように動く灯りのオブジェ。
ほんの少しの安らぎを提案しました。